おもちゃのもと


【 木組み・きぐみ 】
『木組み』とは、釘などを使わずに木を組み合わせる技の事です。
同じ方向に木をつなぎ合わす事を『継手』。直角や斜めなど、木が交わるようにつなぎ合わす事を『仕口』とも呼びます。
木組みの種類は様々あり、100を超えるとも言われています。
日本の木造建築が千年以上その姿を保っているのは、木組みの技術があったからだと言われます。
木を組み合わせる事で、より強固となり、木の軽さと強さを生かした建築ができるのです。
おもちゃでつかっている『四方蟻』の継手は江戸時代頃の大工さんが考え出したものです。
これは、自分で新しい組み方を考えて腕自慢する『遊び心』が生んだとも言われています。
ただ現代では、大工さんが実際に墨付け、刻みをする事は数少なくなっており、伝統の形に基づいた機械加工が発展してきています。



【 契り・ちぎり 】
『契り』とは、板の割れを防いだり、板同士をくっつける時に入れる、クサビの事です。
契りの形には、おもちゃで使用しているちょうちょの形の他に、ひょうたんのような形や、ハンマーのような形をしたものなど、様々あります。
実際に加工する時は、割れが入った板を、契りの形に彫り込み接着材を付けた契りをはめ込みます。
契りに使う材料は、固い木が良いとされています。
写真の契りは、ケヤキに黒檀を埋め込んであります。
契りは板の補強の他にも装飾の効果が高く、わざと色の違う木を使ったり、でっぱらせたりする事でテーブルなどのアクセントとしても使用されます。



【 組手・くで 】
『組手』とは、格子を組む時に使われる、木を欠き込んで組んでいく技の事です。
2本の木を両方欠き込んで組むと、縦にも横にもずれなくなり、しっかりと組めます。
この欠き込みの作業の事を『組手を切る』といいます。
障子の格子などは、格子の幅(見付といいます)が組手の幅。格子の奥行き(見込といいます)
の半分が、組手の深さになります。
組手の幅が広いと、正面から見た時に、組んである場所に隙間が空いてしまいます。
幅が狭いと、堅くて組めなくなります。
実際に格子などを組む時は接着剤を入れて組むので、その分(ほんの少し)深めに組手を切り接着剤が入ってピッタリになるよう調節します。



【 亀甲・はっぱ 】
『亀甲』とは、正六角形を基本とし、そこに薄く削った木を組み合わせる事で紋様を描き出していく技の事です。
この、紋様を描く為の薄い板の事を『はっぱ』と言います。
紋様の種類は現在作られている物だけで80種以上になると言われ、自分でオリジナルの紋様をつくり出す職人さんもいます。
紋様の名前を見ると、どれも自然のものを基調にしている事が分かります。
『麻の葉』『重ね輪胴』『胡麻殻亀甲』…。やはり昔の職人さんも、自然の美しさをお手本にしていたんですね。
写真は代表的な『麻の葉』ですが、この麻の葉紋様を1つ作るだけではっぱが18枚も必要になります。
正三角形が集まった正六角を基本とし、様々な紋様が考えられ受け継がれてきました。 この地組が正確でないと、何百枚はっぱを作っても綺麗に納まりません。
0.1ミリ単位の仕事となり、工芸的にも高度な技と言われています。